

「これは未来への種まきなんです」と話すのは、エステサロンを経営する〈株式会社AQUALIE〉代表取締役の森下利枝さん。本業のかたわら〈飛騨高山フューチャープロジェクト〉を立ち上げ、飛騨地域の小中学生を対象とした「地域お仕事発見隊」を企画・運営して5年になる。
プロジェクトの発足のきっかけは、「地元では夢を叶える事が出来ない」というある女の子の言葉を聞いたことだった。「この地域にも熱い思いを持った魅力的な企業がたくさんあるのに、そのことを知らない人が子供たちも大人も多すぎる」。その現状に驚いた森下さんは、〈NPO法人飛騨高山わらべうたの会〉や〈株式会社POLA〉〈有限会社ブレス〉に協力を仰ぎ、地域の中で仕事を体験し知ってもらうための仕組み作りに奔走した。
単なる職場体験にとどまらず、仕事をする意味ややりがいなど、仕事にかける思いまで各企業に語ってもらうことで「子供たちだけでなく参加者の親さんからも視野が広がった、という声が上がっています。地元にも可能性が満ちていることをもっともっと伝えていきたい」と語る。
2021年に24社でスタートした「地域お仕事発見隊」も今では100社以上の企業が参加するようになった。「人気の職種に応募が集中してしまうことが課題ですが、第2次募集の体験でも期待以上に楽しかったと話す子が多いのもうれしいですね。参加することで未知のことにチャレンジする楽しさに気づいて欲しい」。そんな思いから、今年は新たに「親子で楽しむお仕事発見隊フェス」を10月19日(日)に開催する。
来年の募集に向けて、参加企業を知ってもらうためのインタビューやプチお仕事体験、そこで得たお給料を使えるマルシェなどを企画。「参加を検討している企業の方々にもぜひ見に来ていただけたら。特に13時からの参加企業のおしごとインタビューは必見です」と話す。
近代化の流れの中で仕事が会社という建物の中で行われるようになってから、子供にとっても大人にとっても見えない世界が増えていった。都会に比べてないものが多いと思われがちな地方にも、見えていないだけで未知の可能性が転がっている。
「高校生ボランティアにも募集前の企業PRや当日の記録などで関わってもらっています。当初は卒業後に地元に戻りたい子が少数でしたが、最近では半数に。地元への愛着を持つきっかけになったらうれしいです」。子供と企業、そして親、この地域に住む人々がつながりを深めることで、明るい未来を語り合える日を目指して。そのために今日も森下さんたちは種まきを続けていく。
about
岐阜県高山市問屋町30-88(Google map)
(お仕事体験最終受付15時)
0577-32-0453