Editors journal | 2025.09.24

一人ひとりと、地域に寄り添う。

医療・福祉

ひだ在宅クリニック 院長 駒屋憲一

〈ひだ在宅クリニック〉のスタッフたち。前列中央左が駒屋さん、右が小鷹さん。

この町でどのように暮らし最期を迎えたいか。年を重ねる度に自分自身のことだけではなく、家族の未来も含めて思い馳せることが増えてくる。今年は「団塊の世代」が全員75歳以上となり、日本の人口のおよそ5人に1人が後期高齢者となる年。「2025年問題」とも言われ、超高齢化社会の医療や介護、福祉をどう整備していくかが注目されている。病院や施設に入るのではなく、住み慣れた家や地域で暮らし続けたいと在宅医療のニーズも高まる中、地方は都会ほどその受け皿が少ないのも課題だ。

「いつか地元に戻って仕事をしたいと考えていました」と語る〈ひだ在宅クリニック〉院長の駒屋憲一さんは、勤務医の経験を経て、2022年に飛騨初の在宅医療専門クリニックを開院した。外来と訪問診療を兼ね合わせたクリニックという選択肢もあるが、駒屋さんが在宅医療専門にこだわったのはできる限り多くの人のニーズに応えたかったからだ。「高齢者に限らず病気や障がいを抱える方々もいて、0歳児から後期高齢者まで多様な年齢の方を診ています」。蓋を開けてみるとさまざまな事情によって通院がままならない人々がこの地域にも大勢いた。当初は常勤医師1人体制で始めたクリニックもあっという間に担当患者が増え、飛騨市古川町からカバーできる地域の限界も感じ始めていたところ、小鷹博人さんを迎え2人体制に。この8月に〈丹生川出張所〉の開所が決まり、地域住民に向けて記念講演を開催するという。

その場所は土川権三郎さんがいた〈丹生川診療所〉が母体となっている。「土川先生はとても熱い思いを持って長年この地域の医療を支えてこられましたが、引退されてからは存続の危機に。その思いも受け継ぎつつ、地方こそチームでやっていくことの必要性を感じています」。開所する出張所では〈ひだ在宅クリニック〉が訪問診療や往診を、〈高山市国民健康保険丹生川診療所〉が外来診療や予防接種などを担当。また各患者を担当するケアマネージャーやヘルパー、訪問看護師などとも連絡を取り合い、多方面との連携も欠かさない。「ICTツールも積極的に導入しています。ある部分ではとてもシステマチックですが、地域医療が継続していくための仕組みづくりが大事。地域の医療従事者たちと勉強会もしています」。

「患者さんが日々安定して穏やかに過ごせるようにするためには、ご家族へのケアも大切です」と話す駒屋さんからは、24時間体制であることの過酷さは感じられない。「もちろん気を抜けず大変ではありますが、お看取りをした後もご家族からお手紙が届くことがあり、それがやりがいの1つにもなっているんです」と力強く語る。一人ひとりに対してていねいに取り組んできたことの結果が、地域の未来を守ることにつながるのかもしれない。

これは2025年8月28日発刊の月刊BLESS誌面にて掲載された内容です。

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