サン・ドリーム株式会社 / 代表取締役 西村辰也
人が社会の中で生き生きと暮らしていくために必要なこととは何だろうか。趣味や人との交流はもちろんのこと、障がいがあろうとなかろうと「仕事」が1つの実感につながるだろう。
〈サン・ドリーム株式会社〉は、就労継続支援A型事業所をスタートさせて11年になる今年、飛騨市と地域住民の協力を得て新社屋を開所した。
A型事業所は利用者と雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の給料の保障や条件によっては社会保険も適用されるなど、一般就労に近い形で働くことができる場所だ。
開業時は数名だった利用者も、現在では33名が働きに来ている。「当初は内職仕事から始まり軽作業が中心でしたが、だんだんとスキルアップしていき、利用者さんの気持ちが“仕事をしに来ている”という意識に変わって来たと感じています。就労が不安定だった利用者さんたちも安定して働けるようになりました」と話すのは、代表取締役の西村辰也さん。
ラベル貼りから始まった地元企業からの依頼も、一つひとつの積み重ねが信頼となり、より複雑な仕事内容も提案されるようになった。生活を維持するための労働から、新たな可能性を生み出す仕事への変化はやりがいにもつながっていく。
「頑張ろうという言葉はこの分野ではあまり使われてきませんでしたが、前向きに取り組める声掛けとして様子を見ながら使うようになりました。職員が率先して働く姿を見せてくれていることも、利用者さんの意識の変化につながっていると感じます」。
より働きやすい環境へと変わった新社屋に併設して、キッチンカーで販売を続けてきた〈美河ハム〉のフランクフルトの直売所も年内にオープンする予定だ。
「その場で食べられるスペースや、ホットドッグやドリンクメニューも作ります。お子さん連れでも楽しめるように直売所の脇に砂場も設置しました。地元の方々とも積極的に関わっていきたい」と、敷地内でゆくゆくは夏祭りなども計画中だ。
室内の作業だけでなく、直接買い物客や地域の人々とのやり取りが発生する環境を作ることは、仕事内容のバリエーションが広がり利用者の適正に応じたコーディネートもできるようになる。
また展開する事業の1つである〈サンフラワー〉は、飛騨市初の障がい者グループホーム(共同生活援助)だ。常駐のスタッフの支援を受けながら地域で自立した生活を営むこの場所には、入居だけの人もいれば、〈サンドリーム〉で働く人のほか、近隣のB型事業所に通う人もいるという。
「自社内にとどまらず近くの事業所とも連携して、利用者さんにとって働きやすい場所を相互に提案しています」。多様な人々が共存して生き生きと暮らしていくために、西村さんたちの模索は続く。


















